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CT通信③ ~こいぬがけいれん発作…⁈~

 

こんにちは!今回はこいぬにみられる少し特殊な病気についてお話します。

 

 

新しく家族になったこいぬにこのような症状はありませんか?

 

  • 他の子より体が小さい
  • よだれが多い
  • よく嘔吐する
  • けいれん発作(意識が飛んだように足をばたつかせる)
  • 無目的にくるくる回る

 

 

 

 

これらの症状がみられた場合、「門脈体循環シャント」という病気の可能性があります。

 

 

どんな病気?

 

通常、消化管から吸収された栄養や毒素は「門脈」という血管を通って肝臓に送られ、利用・解毒されます。

しかし、この「門脈」に生まれつきの異常な血管(これをシャント血管といいます)が存在することで肝臓を迂回してしまい、様々な不具合が生じてしまいます。この病態を「門脈体循環シャント」と言います。

 

※左図が正常、右図が門脈体循環シャントの模式図になります。シャント血管により栄養が届かずうまく発達出来ていない肝臓や毒素にあてられた脳が辛そうにしています。

 

 

いくつか当てはまるのだけれどどうしたら良い?

 

必要な検査を行いましょう。主に以下の異常がないか確認します。

  • 血液検査
  • 腹部超音波検査
  • 腹部単純レントゲン検査

 

 

 

 

症状と検査結果から「門脈体循環シャント」が疑われた場合、CT検査を実施することで確定診断されます。

 

 

「門脈体循環シャント」だったらどうしよう…?

 

この病気は手術することで他の子と同じように生きていける可能性があります。一方、様々な理由から薬のみで治療するケースもありますが、その場合の余命は2年ほどといわれています。

 

  • 実際に当院で診断・治療された一例をご紹介します

数か月前から元気がない、たまに神経症状のようなもの(後にけいれん発作と判明)があるとの主訴で近医を受診。

一般検査から「門脈体循環シャント」が疑われ、当院に紹介受診されました。

CT検査の結果、「左胃静脈-横隔静脈-後大静脈シャント」と診断され、後日手術を実施しました。

 

※左図は本症例、右図は血管走行が正常な同犬種のCT画像になります。左胃静脈と呼ばれる血管から後大静脈までをつなぐ、通常はみられない血管が確認できます(矢印)。

 

その後、臨床症状・検査所見は改善し現在は元気に過ごしています。

 

 

あとがき

 

可愛いこいぬを自宅に迎えて間もなく「神経症状」「全身麻酔」「CT検査」「門脈体循環シャント」「手術」など怖いワードばかり出てきて不安になると思います。

しかし、適切に対処すれば今後も元気に過ごせる可能性のある病気です。

症状に思い当たることがある方や可能性ありと診断されて悩まれている方は一度お気軽にご相談ください。

 

 

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